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製作30周年記念

7月24日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、Strangerほかにて公開

INTRODUCTION

イントロダクション

ロカルノ国際映画祭 金豹賞受賞作品

クレール・ドゥニの才能が鮮やかに刻まれた一作

ロカルノ国際映画祭金豹賞受賞。 クレール・ドゥニによる『ネネットとボニ』は、その後の代表作へと連なる映画作家としての美学が鮮やかに刻まれた重要な一作である。

舞台となるのは南フランスの港町マルセイユ。行き場のない若者たちの孤独、不安定な日常、言葉にならない感情の揺らぎを、ドゥニは身体の距離や視線、沈黙によって繊細に描き出していく。

本作において欲望と優しさは単純に対立するものではない。それらは同時に存在しながら人物たちの関係を静かに変えていき、親密さを危うく染め上げていく。

音楽を手がけるのは、本作をきっかけにクレール・ドゥニとの長い協働関係を築いていくバンドティンダースティックス。メランコリックな旋律が、映像に漂う孤独や不安、そして切実な感情を静かに浮かび上がらせる。

グレゴワール・コランとアリス・ユーリが演じる若者たちは、強烈でありながらどこか不安定な存在感を放ち、観る者に忘れがたい印象を残す。さらに、日本でも高い知名度を持つヴィンセント・ギャロ、そしてヴァレリア・ブルーニ=テデスキといった俳優陣が作品に豊かな奥行きを与えている。

『ネネットとボニ』は、劇的な出来事を描く映画ではない。日常の断片に潜む感情の揺らぎをすくい取りながら、若者たちが直面する社会の息苦しさと、それでもなお生まれてしまう親密さを映し出していく。観客は二人の関係を通して、世界の残酷さと優しさの両方に触れることになる。

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SYNOPSIS

あらすじ

南フランスの港町マルセイユ。若者ボニはピザ屋で働きながら、どこにも属さない日々を送っている。ある日、長く離れていた妹ネネットが突然現れ、彼の部屋に転がり込む。行き場を失ったネネットは、ある秘密を抱えていた。彼女は妊娠していたのだ。しかしその事実をボニに打ち明けることはない。ぎこちない同居生活のなかで、二人は互いに踏み込めない距離を保ったまま時間を過ごしていく。ボニはパン屋の女性に心を寄せるが、その想いを現実に結びつけることができない。ネネットは自らの身体と向き合い、未来を選び取ろうとする。残酷な世界のなかで、欲望と優しさは静かに二人の関係を変えていく。言葉にならない感情が、ゆっくりと滲み出していく。

DIRECTORS

監督プロフィール

クレール・ドゥニ

1946年生まれ。幼少期をアフリカで過ごした経験を持ち、その記憶は後の作品群に大きな影響を与えている。ジャック・リヴェット、ヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュらの作品で助監督を務めたのち、1988年『ショコラ』で長編監督デビュー。以後、『美しき仕事』『35杯のラムショット』『ハイ・ライフ』などを発表し、現代フランス映画を代表する映画作家のひとりとして高い評価を受け続けている。ドゥニの映画は、物語の説明よりも身体の感覚や空間、視線、沈黙によって人物の内面を描き出すことを特徴とする。欲望、孤独、親密さ、植民地主義の記憶といったテーマを、説明を排した映像表現によって描いてきた。『ネネットとボニ』は、その後の代表作へとつながる美学が鮮やかに立ち上がる重要作である。

CAST

キャスト

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グレゴワール・コラン

1975年フランス生まれ。演劇一家の家庭で育ち、10代から俳優活動を始める。15歳のとき、ジェラール・コルビオ監督の『めざめの時』に主演。1994年、TV映画『US Go Home』で初めてドゥニ作品に出演し、その後『ネネットとボニ』、『美しき仕事』、『35杯のラムショット』などに出演。粗野さと繊細さを同時に感じさせる独特の存在感によって高い評価を受けている。『ネネットとボニ』では、不器用な欲望と孤独を抱えた青年ボニを鮮烈に演じ、ロカルノ国際映画祭で銅豹賞を受賞した。

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アリス・ユーリ

1980年フランス生まれ。14歳の頃、クレール・ドゥニ監督『US Go Home』のオーディションに参加したことをきっかけに俳優活動を開始。グレゴワール・コランとの組み合わせに魅力を感じたドゥニが、再び二人を兄妹役として起用した作品が『ネネットとボニ』である。本作では、孤独や不安を抱えながら、自らの身体と向き合おうとする少女ネネットを繊細に演じ、強い印象を残した。その後も『ガーゴイル』、『愛と激しさをもって』などドゥニ作品のほか、アブデラティフ・ケシシュ監督の『クスクス粒の秘密』などに出演している。

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ヴィンセント・ギャロ

1961年アメリカ・ニューヨーク州バッファロー生まれ。俳優、映画監督、ミュージシャン、写真家など多方面で活動するアーティスト。1998年、自身が監督・主演を務めた『バッファロー’66』によって世界的な注目を集め、カルト的な人気を獲得した。その後も『アリゾナ・ドリーム』、『ブラウン・バニー』などに出演。インディペンデント映画を象徴する存在として、日本でも高い人気を誇る。ドゥニとは『フィガロ・ストーリー』のドゥニ篇『KEEP IT FOR YOURSELF』を通じて協働し、その後も『US Go Home』『ネネットとボニ』『ガーゴイル』などに出演している。

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ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ

1964年イタリア・トリノ生まれ。俳優、映画監督、脚本家。幼少期にフランスへ移住し、以後フランス映画界を代表する俳優として活躍。パトリス・シェロー、ジャック・ドワイヨン、アラン・タネール、フィリップ・ガレル、パスカル・ボニゼール、シャルナス・バルタスら多くの監督作品に出演している。監督としても高く評価され、『ラクダと針の穴』、『女優』、『イタリアのある城で』などを発表。『ネネットとボニ』では、ボニが欲望と幻想を投影するパン屋の女性を演じ、グレゴワール・コランとともにロカルノ国際映画祭で銅豹賞を受賞した。

STAFF

スタッフ

アニエス・ゴダール(撮影)

1951年フランス生まれ。現代フランス映画を代表する撮影監督のひとり。2018年のIndie Wireの「21世紀における最良の撮影監督たち」のベスト25のうちの1人に選出される。1980年代より活動を始め、クレール・ドゥニ作品を長年に渡り支えてきた重要な協働者として知られる。人物の身体、肌、空気、光を繊細に捉える映像表現に定評があり、『パリ、18区、夜』、『美しき仕事』、『ガーゴイル』、『35杯のラムショット』、『レット・ザ・サンシャイン・イン』など数多くの作品で高い評価を獲得。『ネネットとボニ』では、マルセイユの光や湿度、人物同士の距離感を豊かな質感で映し出している。

ティンダースティックス(音楽)

1992年にイギリス・ノッティンガムで結成されたバンド。スチュアート・A・ステイプルズを中心に活動し、ユニークでミステリアスな存在として高い支持を獲得してきた。『ネネットとボニ』は、クレール・ドゥニとティンダースティックスの本格的な協働関係の出発点となった作品である。ドゥニはインタビューで、本作の脚本執筆時にティンダースティックスの楽曲「My Sister」に強く影響を受けていたと語っている。その後も両者は『美しき仕事』『35杯のラムショット』『ホワイト・マテリアル』『Stars at Noon』など数多くの作品で協働を続けていくことになる。本作では、孤独や欲望、言葉にならない感情を包み込むような音楽によって、映画全体に静かな余韻を与えている。

KEYWORD

キーワード

マルセイユという場所

『ネネットとボニ』の舞台となるマルセイユは、単なる背景ではない。港町としての雑多さ、移民都市としての空気、周縁性、不安定さが、登場人物たちの感情と深く結びついている。

クレール・ドゥニは、人物たちを都市の風景から切り離して描かない。工場地帯、海、住宅街、道路、パン屋、アパートの部屋といった場所は、人物たちの孤独や欲望、親密さを映し出す空間として存在している。その意味で、『ネネットとボニ』は若者たちの映画であると同時に、“場所”の映画でもある。

『ネネットとボニ』は、最初から音楽に養われていた

クレール・ドゥニは、イギリスの新聞『The Guardian』のインタビューにおいて、『ネネットとボニ』がティンダースティックスの楽曲「My Sister」に強く影響を受けていたことを語っている。

「『ネネットとボニ』は、最初の段階からその曲に養われていました。」

ドゥニにとって音楽とは、単なる伴奏ではない。彼女は同インタビューで、「音楽はキャラクターや映像へ近づくためのもの」だとも語っている。『ネネットとボニ』では、人物たちの感情が明確な言葉によって説明されることは少ない。代わりに、身体の距離、視線、沈黙、都市の空気、そしてティンダースティックスの音楽によって、人物たちの孤独や欲望、親密さが静かに立ち上がっていく。本作は、クレール・ドゥニとティンダースティックスによる長い協働関係の出発点となった作品でもある。以後、両者は『美しき仕事』『35杯のラムショット』など数々の作品でコラボレーションを続けていくことになる。

同じ俳優たちと時間を共有したい

クレール・ドゥニは、同じ俳優たちと繰り返し映画を撮り続けることで知られている。彼女はインタビューの中で、「俳優たちと時間を共有したい」と語っている。人物を単なる役柄としてではなく、身体や存在そのものとして捉えるドゥニにとって、俳優との継続的な関係は重要な意味を持っている。グレゴワール・コランもまた、『ネネットとボニ』以降、『美しき仕事』『35杯のラムショット』など複数のドゥニ作品に出演していくことになる。ドゥニ映画における人物たちは、説明される存在ではなく、空間のなかで“存在する”存在として映し出される。『ネネットとボニ』に漂う独特の親密さや緊張感は、そうした俳優たちの身体的な存在感によって支えられている。

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